VPN接続とは?仕組みやメリット・デメリット、選び方・接続方法などを解説

VPN接続とは?仕組みやメリット・デメリット、選び方・接続方法などを解説
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2026.10.19

VPN(仮想プライベートネットワーク)とは、通信を暗号化し、盗聴や情報漏洩からデータを守る仕組みです。

フリーWi-Fi®を安全に使いたいときや、リモートワークのセキュリティを高めたいときに役立ちます。
今回は、VPNの仕組みやメリット・デメリット、サービスの選び方、接続方法などをわかりやすく解説します。

目次

VPN(Virtual Private Network)とは?

VPNとは、日本語では「仮想プライベートネットワーク」や「仮想専用線」とも呼ばれている、安全にデータ通信をするために開発された技術です。

インターネットとスマホやパソコンの間を、仮想専用線でトンネルのようにつなぐことで、悪意のある第三者からの侵入や盗聴を防ぎます。

本来、専用線は2つの拠点(オフィスなど)を物理的につなぐ回線を使いますが、通信帯域(データの通り道)を占有できる反面、設備にかかるコストが高額なため、限られた場所でしか使われていませんでした。

一方、誰もが低価格で利用できるいわば公共のネットワークであるインターネットの中に、VPNは送受信それぞれに設置した機器類を使って仮想的な専用線を作るため、物理的な専用回線が必要ありません。そのため、コストが抑えられ、中小企業や個人でも利用しやすくなりました。

テレワークが進む中、自宅や出張先などの社外から社内のサーバーにアクセスする場合など、ビジネスシーンでも多くVPNが活用されています。

ただし、国や地域によってはVPNの利用そのものが制限されている場合があります。海外で利用する際は、事前に現地の法令や規制を確認しましょう。

スマホでもVPNを利用することで、フリーWi-Fiやお店のWi-Fiなどセキュリティが弱い回線を利用する際に、安全なデータ通信ができるようになります。

VPNと専用線の違い

VPNと専用線の違いを確認しておきましょう。

専用線は、2つの拠点を物理的につなぐ回線のことです。仮想的なネットワークでつなぐか、物理的な回線でつなぐかが、VPNと専用線の大きな違いです。

専用線は、専用の回線でVPNよりも高いセキュリティ性が確保でき、より安定して高速通信が可能です。一方で、設置費用が必要で、VPNと比べるとコストがかかります。

拠点同士を結ぶネットワークを構築する際、より高いセキュリティ性を求める場合や、大容量の通信が必要な場合に専用線が適しています。一方で、コストを抑えつつも一定程度のセキュリティ性のある通信を導入するなら、VPNが適しています。

VPN接続の必要性

VPNが役立つ代表的な場面は、駅やカフェ、ホテルなどで使えるフリーWi-Fi(無料で利用できる公衆無線LAN)の利用時です。

フリーWi-Fiは手軽で便利な反面、通信のセキュリティが弱いものも少なくありません。そのため、入力したIDやパスワード、クレジットカード番号などを第三者に盗み見られたり、情報を書き換えられたりするおそれがあります。

総務省でも、フリーWi-Fiを安全に使うための利用者向けマニュアルを公開しています※。

マニュアルでは、接続するWi-Fiが信頼できる提供元のものかを確かめることや、個人情報を入力する際はWebサイトのURLが「https」で始まっているか(通信が暗号化され、中身を読み取られにくくなっているか)を確認することなどが呼びかけられています。

ただし、この方法で通信を保護できるのは、対応しているWebサイトを閲覧しているときに限られます。

VPNを使うことで、スマホやパソコンの通信全体をまとめて暗号化し、外から中身を読み取られにくくすることが可能です。つまり、VPN接続があればフリーWi-Fiを使うときも、より安心してインターネットを利用できるようになります。

※出典:総務省「公衆「Wi-Fi利用者」向け簡易マニュアル 利用者」

VPNの仕組みと技術

VPNは「トンネリング」「カプセル化」「認証」「暗号化」によって、高いセキュリティ性が確保されています。それぞれの仕組みと技術について、以下で見ていきましょう。

トンネリング

トンネリングは、物理的な専用回線を使用するのではなく、インターネット上に仮想的なトンネルを開通させてデータを安全に送受信する技術です。

インターネットは不特定多数のユーザーが利用する公衆回線(誰もが自由に接続できるネットワーク)ですが、その中で仮想的なトンネルを構築することで、外部から隔絶された安全な通信を実現できます。

トンネル内のデータは外部から見えないように隠され、不正アクセスや盗聴から保護されます。

カプセル化

カプセル化は、データをカプセルの中に封じ込めて安全に送受信する技術です。VPNでは、カプセルに包まれたデータが仮想的なトンネルを通じてやり取りされます。

カプセル化されたデータは外から中身が見えない状態のため、万が一第三者がトンネル内に侵入した場合でも、情報漏洩やデータの改ざんから保護されます。

認証

認証は、トンネル内部への不正アクセスを防ぐための仕組みです。仮想的なトンネルによって外部と隔絶しても、その内部に簡単に侵入されては意味がありません。トンネルの利用者が正当な権限を保有しているかどうかは、入口で確認されます。

認証方法には、IDとパスワードによる認証、電子証明書による認証、多要素認証などさまざまな種類があります。

暗号化

カプセル化されたデータは、さらに暗号化されて仮想的なトンネルの中を送受信されます。暗号化とは、決められたルールに基づいてデータを変換し、正しい鍵を持つ人以外には中身を読み取れないようにする仕組みです。

万が一データが盗まれた場合も暗号が解読されない限り、中身のデータが理解されることはありません。暗号を解くためには、特定の鍵が必要となります。

実際にVPNで使われる暗号化の方式には、いくつかの種類があります。

代表的なものが、通信のやり取り全体をまとめて暗号化するときに多用される「IPsec(アイピーセック)」と、Webブラウザ(インターネットでWebサイトなどを閲覧するためのアプリやソフト)上での通信を手軽に暗号化できる「SSL/TLS」です。

暗号化によって通信の内容が保護されるため、セキュリティが弱くなりがちなフリーWi-Fiを使うときでも、やり取りする情報を守れます。

VPNの種類

VPNの種類としては、インターネットVPN、エントリーVPN、IP-VPN、広域イーサネットの4種類があります。

インターネットVPN

インターネットVPNは、インターネット上にVPNをつくる接続方式で、低コストかつ少ない手間で導入が可能です。

不特定多数が利用するインターネット上にVPNのトンネルを開通させるため、混雑の影響を受けることや、ほかの方式に比べるとセキュリティ上のリスクがある点がデメリットとなります。個人がスマホなどで利用する場合は、主に「インターネットVPN」が使われます。

エントリーVPN

通信事業者が提供する光回線などによるクローズドネットワーク(閉域網:インターネットとは遮断された専用のネットワークのこと)を利用する接続方式です。

限られた利用者の回線となるため、インターネットVPNと比較するとセキュリティ性が高く、また、IP-VPNや広域イーサネットと比較すると低コストで導入できます。

IP-VPN

IP-VPNは、通信事業者がVPN用に用意したクローズドネットワーク(閉域網)による接続方式です。

一般的なブロードバンド回線を利用するエントリーVPNとは異なり、混雑状況によらず一定の通信速度が保証される「帯域保証型(あらかじめ一定の通信速度が約束されている仕組み)」が採用されており、安定した通信品質を確保しやすい点が特徴です。

広域イーサネット

広域イーサネットは、通信事業者のクローズドネットワーク(閉域網)などで提供される接続方式です。エントリーVPNやIP-VPNがIPアドレスを使ってデータをやり取りするのに対し、広域イーサネットは拠点同士をひとつのLANのように直接つなぎます。

多様なルーティングプロトコル(データを目的地まで届けるための最適なルートを決めるルール)に対応できることがIP-VPNとの大きな違いで、ネットワークを自由度高くカスタマイズできます。一方で、エントリーVPNやIP-VPNと比べて導入や運用のコストが高い点はデメリットです。

VPNプロトコルの種類

VPNプロトコルは、VPNで通信をする際にお互いのコンピュータが守る約束事のことです。VPNプロトコルには、いくつかの種類があり、主なものとして以下が挙げられます。

WireGuard

最新の暗号技術を採用したプロトコル
シンプルで動作が軽く、高速なオープンソース(設計が公開され誰でも改良できる)
セキュリティの高さと使いやすさを両立している

L2TP/IPsec

L2TPというトンネリング(仮想のトンネルを作る仕組み)を行うプロトコル
IPsecとの組み合わせで暗号化が可能になる

IKEv2/IPsec

IKEv2は通信を自動追従でき、接続が切れても自動で再接続するプロトコル
暗号化のためにIPsecと組み合わせて使われる

OpenVPN

オープンソースのVPNプロトコル
柔軟にカスタマイズが可能

PPTP

Windowsに初めて導入されたVPNプロトコル
セキュリティ上の弱点(脆弱性)がある
近年は多くのOS(スマホやパソコンを動かす基本システム)で利用を終了する動きが進んでいる

近年特に注目されているのがWireGuardです。動作が軽く高速でありながら高いセキュリティを備えており、スマホからパソコンまで幅広い機器で利用できます。

VPNのメリット

VPNのメリットをいくつか見ていきましょう。

フリーWi-Fi®でもデータ通信の安全性を高められる

通信のセキュリティが強化されることで、フリーWi-Fiでも安心してクレジットカード情報などの重要なデータのやり取りができます。

また、通信経路上において悪意のある第三者にデータを盗み見られたり、侵入されたりする行為を防ぎ、安全にインターネットを楽しめるようになります。

アクセス規制がある国からでもインターネットが利用できる

一部の国では、国内のネットワークを経由して閲覧できるWebサイトや利用できるSNSに制限がかけられていることがあります。VPNを利用すると、こうした制限を受けずにインターネットを利用できる場合があります。

ただし、国や地域によってはVPNの利用自体が制限されているため、現地の法令や規制を確認したうえで利用しましょう。

リモートワーク中のセキュリティ対策ができる

リモートワークをするときに、自宅のWi-FiやフリーWi-Fiを使うと、会社の機密情報や個人情報が漏洩してしまうリスクがあります。しかし、VPNを利用すれば、自宅のWi-FiやフリーWi-Fiでも通信経路上の安全を図ったうえでリモートワークが可能です。

そのため、社内ネットワークにアクセスする際には、会社が指定しているVPNの利用が必須となる場合があります。

IPアドレスを置き換えて、プライバシーを保護できる

VPNには、インターネット上で自分の身元を隠しやすくする機能があります。

インターネットにつながる機器には、それぞれ「IPアドレス」という番号が割り当てられています。IPアドレスはインターネット上の住所のようなもので、Webサイト側はこの番号からアクセスしてきた人のおおよその所在地などを知ることができます。

VPNに接続すると、自分のIPアドレスが経由するVPNサーバーのIPアドレスに置き換わります。その結果、アクセス先のWebサイトなどからは実際の所在地や身元がわかりにくくなります。

誰がどのサイトを見ているかを追跡されにくくなるため、オンライン上のプライバシーを守ることにつながります。

VPNのデメリット

メリットが多く、安全なデータ通信ができるVPNですが、デメリットもあります。以下でそれぞれ解説します。

VPNは基本的に有料

VPNのサービスは、会社が従業員に提供するものを除き、基本的に有料です。個人で契約するインターネットVPNの場合、料金の目安は月あたり数百円から2,000円程度で、サービスによって異なります。

無料VPNもありますが、安全性や快適性の面で不安が残るものが大半です。

たとえば、利用者が集中して通信速度が遅くなったり、通信量に制限が設けられていたりします。中には、運営元がはっきりしないものや、利用者の通信記録を収集して第三者に販売しているものもあるとされています。

無料という手軽さだけで選ぶと、かえってリスクを抱えることになりかねないため、安心して使いたい場合は有料のサービスを選びましょう。

VPNはデータ通信速度が遅くなることがある

VPNはVPNサーバーを経由してデータ通信を行うため、利用者が多かったり、VPNサーバーの性能が低かったりすると通信速度が遅くなることがあります。

別途セキュリティソフトが必要

VPNを利用することでデータ通信の安全性が高くなりますが、情報漏洩や不正アクセスのリスクがなくなるわけではありません。たとえば、メールに含まれる不正なリンクからウイルスに感染するといった被害は、VPNだけでは防げません。

VPNを使っていても、スマホのデータを守るために別途セキュリティソフトを導入しましょう。

また、VPNのサービスや機器そのものに、セキュリティ上の弱点(脆弱性)が見つかることもあります。

実際にIPA(情報処理推進機構:日本のITの安全や発展を支える公的機関)も、VPN機器の弱点を突いた攻撃に注意を呼びかけており、対策として弱点が修正されたプログラムを速やかに適用することや、サポートが終了した古い機器を更新することなどを挙げています。

こうしたリスクを避けるためにも、実績のある信頼できる事業者のVPNを選び、アプリやOSの更新を欠かさないことが重要です。

VPNサービスの選び方

個人がVPNサービスを選ぶ際のポイントは、主に以下のとおりです。

・通信速度
・サーバー数・対応国数
・暗号化方式・対応プロトコル
・ノーログポリシー
・料金・同時接続台数
・サポート体制・運営実績

中でも重視したいのが、通信記録を残さない「ノーログポリシー(利用者の閲覧履歴や通信データを保存しないという約束のこと)」を掲げているかどうかです。プライバシーを守るためにVPNを使うのに、通信記録が保存されていては、その目的を十分に果たせない可能性があります。

併せて、WireGuardのような新しいプロトコルへの対応や運営実績の長さも、安心して使えるかを見極める材料のひとつです。

こうした基準で比較すると、無料のVPNサービスでは条件を満たせないケースが少なくありません。安全性と快適性を重視するなら、信頼できる有料のVPNサービスを選ぶのが望ましいでしょう。

VPN接続の導入方法

個人でVPNを使いはじめる際の大まかな流れは、以下のとおりです。

1.自分にあうVPNサービスを選ぶ
2.公式Webサイトでプランを選んで契約する
3.スマホやパソコンにVPNの情報を登録する

まず、通信速度やセキュリティ、料金などから自分の使い方にあったVPNサービスを選びます。

次に、そのサービスの公式Webサイトにアクセスし、利用したいプランを選んで契約しましょう。多くのサービスでは、月ごとや年ごとなど複数のプランが用意されています。

契約が済んだら、実際に使うスマホやパソコンにVPNの情報を登録します。専用アプリを提供しているサービスなら、アプリをインストールして案内に従うだけで登録が完了することが一般的です。

登録まで終われば、後は必要なときにVPNをオンにするだけで利用できます。

導入したVPNへの接続方法

契約したVPNに実際に接続する方法は、大きくわけて「専用アプリを使う方法」と「機器に手動で設定する方法」の2種類があります。

多くのサービスでは専用アプリが用意されており、アプリを使う方が手軽でしょう。それぞれの手順を解説します。

専用アプリで接続する

VPNサービスが専用アプリを提供している場合、画面の案内に従って操作を進めるだけで接続できます。おおまかな手順は以下のとおりです。

1.専用アプリをダウンロードする
2.アプリにログインする
3.接続先のサーバーを選ぶ
4.接続をオンにする

まず、契約したVPNサービスの専用アプリをApp StoreやGoogle Playからダウンロードします。インストールしてアプリを開いたら、契約時に発行されたユーザー名やパスワードでログインします。

次に、接続したい国や地域のサーバーを一覧から選び、接続ボタンをオンにすれば完了です。後はオン・オフを切り替えるだけで、必要なときにVPNを使えます。

iPhoneで手動設定する

専用アプリがない場合や、自分で設定したい場合は、iPhoneに手動でVPNを登録することもできます。

「設定」アプリを開き、「一般」>「VPNとデバイス管理」>「VPN」と進みます。続いて「VPN構成を追加」をタップし、契約しているVPNサービスから案内された情報(種類やサーバーアドレス、アカウント名など)を入力して保存します。

登録が済むと、「設定」アプリの上部にVPNのオン・オフを切り替えるスイッチが表示されます。

また、iOS 18以降では、画面右上から下に向かってスワイプして開く「コントロールセンター」からも、VPNのオン・オフを素早く切り替えられます(あらかじめボタンの配置が必要です)。

Android™スマホで手動設定する

Android™スマホでも、手動でVPNを登録できます。Androidスマホの場合、項目名や操作手順は製品によって異なるため、詳しくは公式Webサイトの製品ページなどをご確認ください。今回はGalaxy S22の手順を基に紹介します。

「設定」アプリを開き、「接続」>「その他の接続設定」>「VPN」と進みます。画面右上の追加アイコン(+のマーク)をタップし、契約しているVPNサービスから案内された情報を入力して保存しましょう。

登録したVPNの名前をタップし、ユーザー名とパスワードを入力して接続すれば、利用を開始できます。

VPNに接続して、データ通信を保護し、安全なインターネットを楽しもう

VPNは、インターネット上のデータのやり取りを暗号化し、安全性を高められる仕組みです。特に、暗号化が十分でないこともあるフリーWi-Fiなどを活用するときは、VPN利用が安全性の観点から望ましいでしょう。

一方、外出先ではフリーWi-Fiに頼らず、スマホのモバイルデータ通信を利用することも、安全性を意識した選択肢のひとつです。

外出先でもモバイルデータ通信を積極的に利用したい場合は、データ利用量を気にせず使いやすい料金プランを選ぶとよいでしょう。

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